アイランドシャングリ・ラ香港流のおもてなし

香港旅行に行ってきました。両親と義両親含め、6人でのドタバタ旅行だったため、我々夫婦はそのお世話でてんてこ舞いでした。というのはまた別の話で、今回の旅はうちの両親の金婚式のお祝いを兼ねていたので、それ以外の4人で「サプライズでシャンパンをホテルの部屋に置いておこう」と画策。

こういった場合の窓口はそこそこ英語ができる自分になるのだけど、事前に行ったホテルとのやりとりにはまあ驚かされた。とにかく対応が早い。スタッフ1人が担当するのではなく、チームの誰かしらがだいたい2時間以内に適切な返信を寄越してくる。つまり、チーム内でしっかり情報共有ができているのだ。

ホテルの部屋にサプライズでプレゼントを置くという洒落たことを今までにやったことがないので(今回も妻発案)、勝手がわからなかったのだけど、こちら側の意図を伝えると、ホテルからは準備できるワインとシャンパンのリストが送られてきた。そこで予算に合わせたシャンパンを選んでホテルに伝えるという流れ。リストの最後にはバラの花1ダース用意できますよ、なんていうオプションがあったけれど、花は賑やかしにはなるけど日本に持って帰れないので今回はスルー。カードで支払いを済ませ、これで準備は万端。不安だったのは、部屋を間違えないかどうか。「それだけは間違えないでくれ」と念押し。

さて、旅行当日。ホテルでチェックインの手続きをしていると、対応してくれた男性スタッフが「記念日を迎える両親はどなた? 花束を渡してもいいかい?」と声を潜めて聞いてくる。いや、花束のオプションは選んでないんだけど……と困惑していると、どうやらホテル側からのお祝いのよう。4日間、我々のお世話をしてくれるアイリーンという若い女性スタッフが両親に花束を渡すと、大変驚いた様子の両親。いや、俺も驚いた。今回泊まるホテル、アイランドシャングリ・ラ香港はこうやって我々に先制パンチをカマしてきたのだ。

その後、アイリーンに導かれ、部屋へと移動。夫婦ごと3部屋に分かれ、荷物を下ろす。そして彼女は、今回の旅行のプランを聞き、だったらここに行けばいいよと地図とメモ帳を使って、丁寧に観光地やショッピングモールの説明をしてくれた。今頃、うちの親は部屋に置いてあるシャンパンに驚いていることだろう……。しかし、これら全てをホテル側の厚意として受け取られてはマズいので、我々からのプレゼントだということを伝えるために2人の部屋へ向かった。

「大志、これどういうこと!?」彼らの部屋に着くと、たいそう驚いた様子の母親が顔を見せた。そうでしょうそうでしょうと鼻の穴を広げて部屋に中に入ると、彼らの部屋はこんなことになっていた。
またしてもホテルからのサプライズである。こんなことは頼んでいないし、ホテル側からの提案もなかった。こんなこと言うのもなんだけど、お願いしたシャンパンだってそんなに高価なものではない。それなのに、だ。よく見ると、シャンパンとは別にワインが1本テーブルで冷やされていて、お祝いの手紙まで添えられている。おいおいおいおい、こんなことってある?? 枕元に置かれていた金色の風船には「HAPPY GOLDEN ANNIVERSARY」と書かれていた。

もうこれでだいぶ満足していたのだけど、2日目の夜、ヘロヘロになりながらホテルに帰ってくると、カードが置いてあった。それが冒頭の画像である。英語が分かる人なら理解してもらえるだろうけど、この、我々に対する親しみが感じられる文面。ここは5つ星ホテルなのに、こんなフレンドリーに接してくるとは全くの予想外。これがまずすごくうれしかった。内容を読み進めると、今回の飾り付けはチームみんなで考えたということ。そして、我々のためにクッキーを用意したということ。手書きということもあって、なんだかやたらと心打たれてしまった。ちょっと泣きそうですらあった。

ホテルの良し悪しって、結局のところ人よねえ。てか、いいホテルはスタッフがいい。ハワイのハレクラニでもホスピタリティに感動させられたけど、アイランドシャングリ・ラ香港はそれとも違って、人の顔がよく見える仕事をしてくれました。こんなことしてもらっちゃったら、今度また香港に来る時にはここに泊まるしかないよなあ。